アタッチメント:「フォーカス」ルールと「フォースロール」:一発判定での台無しを避ける - TRPG GigaFreaks!

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#TRPG好きとつながりたい #TRPG #運用方法 #追加ルール

 こんにちは、如月翔也(@showya_kiss)です。
 今日は新ジャンル「アタッチメント」として、2つのルールを作りましたので共有します。
 「アタッチメント」ジャンルは「既存のTRPGに組み込めるルール」を提案して行きます。独自のジャンル名に見えるんですが、拡張ルールでも選択ルールでもなく「合体させて使う」ルールなのでアタッチメントという名前にしています。

このアタッチメントが目指しているもの

 このアタッチメント(選択式追加ルール)は、次のような結果を目指して設計しています。

  1. 盗賊の罠外し・鍵開けのような「らしさを支える行動」なのに「判定1回」で見せ場が終わってしまう問題を解消できる。
  2. 同じく判定できる人が1人またはごく少数なのに「判定失敗」で展開が詰んでしまう可能性を減らす事ができる。
  3. 応用する事でクラス制システムだけでなく技能制システムでも同じ恩恵が受けられる(応用方法と実例は後に載せます)。
  4. 意識から漏れがちな「全員の見せ場の確保」をしやすくなる。

 伝えるために内容を長くしていますが、骨子とシステムがわかれば運用自体は難しくありません。
 が、設計思想を知っているといないでは運用方法に差が出る可能性があるため、ざっと一読だけでもして頂けると嬉しいです。

このアタッチメントが解決したい問題

 TRPGでは、戦闘のような重要な場面には複数手番・複数判断・複数回のやり取りが用意されている事が多いです。
 攻撃するか、防御するか、距離を取るか、仲間をかばうか、リソースを切るか――そうした選択の積み重ねによって、プレイヤーは「そのキャラクターを遊んでいる」実感を得ます。

 しかし一方で、盗賊の罠外しや鍵開け、デッカーのハッキング、あるいは特定技能による解析のような「そのキャラクターらしさを支える重要行動」が、しばしば判定1回で処理されてしまいます。

 この時、以下のような問題が発生しがちです。

  1. 本来そのキャラクターの見せ場であるはずの行動が、一瞬で終わってしまう。
  2. 成功しても「被害が発生しなかった」「当然の結果を得ただけ」で終わりやすく、達成感が薄い。
  3. 失敗した場合は即座に悪影響が出やすく、成功時より失敗時の印象が重くなりやすい。
  4. 判定できる人が少ない場合、その1回の失敗で展開が止まる、あるいは大きく損なわれる。
  5. 結果として、「その役割を担うキャラクターほどリスクが高く、報酬が薄い」という逆転現象が起きやすい。
  6. 本来プロなら起こりうるはずの「成功はしなかったが、致命的な結果が出る前に危険を察して手を引いた」という展開が、GMの個別配慮なしでは成立しにくい。

 このアタッチメントは、そうした**「重要だが一発判定で処理されがちな行動」**に対し、

  • 一発失敗で全てが終わらない
  • 途中で危険を察して手を引く余地がある
  • 成功・失敗の積み重ねがドラマになる
  • その役割ならではの「らしさ」を見せやすくなる
  • クリティカルやファンブルを含め、判定の結果がよりドラマチックになる

ようにする事を目的としています。

 言い換えれば、このアタッチメントは単に成功率を調整するためのものではなく、**「キャラクターの専門分野を、ちゃんと遊びとして成立させるための補助ルール」**です。

フォーカスルールの説明

 では、フォーカスルールについて説明します。

フォーカスルールとは何か

 フォーカスルールとは、通常、判定1回で処理されがちな「職業らしい」「キャラらしい」重要行動を、1回の判定ではなく複数回の判定の「組み合わせ」として扱うための追加ルールです。
 個別の判定の成功で行動成功に近づき、判定の失敗は即座の破滅ではなく危険度の上昇として扱います。

フォーカスルールの概要

 フォーカスルールの概要は次の通りです。

  • 判定成功でフォーカスの成功が近づく
  • 判定失敗で猶予が減る
  • クリティカルで即成功
  • ファンブルで即失敗
  • 危ないと思ったら途中撤退できる

フォーカスルールの処理手順について

 フォーカス判定は以下の手順で処理します。

A. 判定対象をGMが決める。
B. GMは判定の成功に必要な「フォーカス目標値」を決める。
C. GMは「猶予」と「判定の目標値」を決める。
D. プレイヤーは決まった「フォーカス達成値」「猶予」をもとに1回ずつ判定を行う。
E. 実際のフォーカス判定は以下の手順の繰り返しで行う。

  1. フォーカスの成功条件:判定の結果累積した「フォーカス達成値」が「フォーカス目標値」に達すればフォーカス判定は成功。また、個別の判定がクリティカルの場合、フォーカスはクリティカル成功として即時に終了する。
  2. フォーカスの失敗条件:判定が失敗した結果、「猶予」が0未満になった場合フォーカス判定は失敗。また、個別の判定がファンブルの場合、フォーカスはファンブル失敗として即座に終了する。
  3. 判定方法:GMが示した「判定の目標値」を目標にダイスロールを行う。判定方法はシステムに依存する。
  4. 判定が成功した場合:「判定の目標値」を越えた分を「フォーカス達成値」に加える。「猶予」を消費せずに次の判定を行う。
  5. 判定が失敗した場合:「猶予」を1消費する。クリティカル・ファンブルは即座に判定が終わる点に注意。
  6. プレイヤーは判定結果を見た上で、フォーカスを途中でやめる選択肢を持つ。これを選択した場合「手を付けたが失敗の可能性を判断して途中でやめた」となり、ペナルティは発生しない。

 この手順について必要なものを定義します。

  • 「フォーカス目標値」
    判定の難易度を表します。これを求めるためには基本は「3回判定で2回成功」(この場合フォーカス目標値が2、猶予は1です)をベースに、難易度が高い行為は必要値を多く、ロールする人に有利な点があれば必要値を少なくします。
    フォーカス目標値は原則「3回判定で2回成功」を念頭に設定しますが、使うシステムによって「成功度」の扱いが異なるため、成功回数だけをカウントする方法、目標値を上回った分を累積する方法で使い方が変わります。
  • 「フォーカス達成値」
    フォーカス判定の中で積み上がっていく値を指します。最初はゼロです。
  • 「猶予」
    判定に対して考慮される時間的・技術的猶予を指します。基本は「1回」をベースに、時間的に猶予があればプラス、技術的に余裕があればプラスします。ただし、あまりプラスが大量につくようなシチュエーションなら、「判定せずに成功」にした方が事故は減ります。
    ゲーム的な扱いは「失敗が許される回数」ですが、物語的には「時間的・技術的猶予」として扱います。
  • 「判定の目標値」
    ロールの目標値です。これはそのまま「本来ならばこれを1回で判定する」値をそのまま入れます。

 フォーカスルールは「失敗を回収できる」設計なので、一見「目に見えるデメリットが必要ではないか」と感じると思いますが、実は最低2回成功しないといけない以上判定は最低2回、失敗したら3回目があり、それだけで「ファンブルが発生する可能性」が跳ね上がります。
 つまりこのルールは、ノーリスクで成功率を上げるものではなく、「一発事故を避ける代わりに、判定そのものが荒れやすくなる」ルールです。これだけで十分に相応のデメリットになります。

実運用(CoCの場合)

 これを実運用する場合、クトゥルフ神話TRPGの場合こう運用します。
 6版・7版問わずに投入可能です。

  • 「フォーカス目標値」
    基本的に全て「3回チャレンジして2回成功」で良いです。つまり、「フォーカス目標値」は2です。
  • 「フォーカス達成値」
    通常成功なら+1、イクストリーム成功なら+2で積み上げていきます。
  • 「猶予」
    基本的に全て「3回チャレンジして2回成功」で良いです。つまり、「猶予」は1です。
  • 「判定の目標値」
    CoCはスキル制下方ロールなので、判定は全てキャラクターシートの値でロールします。

実運用(SW2.5)の場合

 ソード・ワールド2.5でこれを実運用する場合こう整理します。

  • 「フォーカス目標値」
    基本的に全て「3回チャレンジして2回成功」ですが、SW2.5では「成功したか」だけでなく、「どれだけ上回ったか」も技術表現として使えます。
    そのため、成功回数ではなく達成値の累積で扱う方が相性が良いです。
    基本形としては、1回の成功でおおよそ2点前後進む想定で、目標値4を基準にすると扱いやすいでしょう。
  • 「フォーカス達成値」
    「判定の目標値を上回った分+1」を積み上げていきます。「丁度=0上回った」で+1されないといけないので、「上回った分+1」である必要があります。
  • 「猶予」
    基本的に全て「3回チャレンジして2回成功」で良いです。つまり、「猶予」は1です。
  • 「判定の目標値」
    GMが「1回の判定で処理する場合の目標値」と仮定したもので良いです。

確率について

 このフォーカスルールを採用する場合、例えば「成功率70%の判定」をフォーカスルールで処理した場合、成功率は8%ほど上がります。
(計算式は省きますが、70%の判定を3回中2回成功できる確率は78.4%です)
 ただ、このフォーカスルールを採用する事で「判定1回で即失敗」が避けられます。
 一見いい事だらけなんですが、フォーカスルールを採用すると「最低2回判定が必要」なのでファンブル率がおおよそ2倍になります。さらに失敗で追加で1回判定するとファンブル率が結果的に増えます。
 またクリティカルの発生もおおよそ2倍になるため、ドラマチックな結果に着地しやすくなります。
 このルールを採用する場合クリティカルとファンブルがカジュアルに発生するため、その描写の準備が必要になります。

 フォーカスルールを導入すると確かに判定は成功しやすくはなりますが、判定そのものはむしろ荒れやすくなります。
 この点を理解した上で導入していただくのが望ましいです。

フォーカスルールの実例

 フォーカスルールで処理できるものとして、次が挙げられます。

  • 盗賊の罠解除・鍵開け
    失敗して困る事が避けられ、かつ見せ場ができます。
  • デッカーのハッキング
    サイバーパンクでデッカーを真面目にプレイするとデッカーの出番だけ別ゲームになるのを避けられます。
    ただし、出番が短くなる分戦闘などで活躍させるフォローが必要です。
  • 魔法使いの魔法解析
    失敗が避けられ、「これ以上調べるとバックファイアが来るよ」が再現可能です。
  • コネクション判定
    段階的にコネクションをたどる風景を再現できます。

 次に、ぜひフォーカスルールと一緒に採用して欲しいアタッチメントを提案します。

フォースロールの説明

 上記ルールを採用するにあたって、こちらのアタッチメントも採用を推奨します。
 「フォースロール」です。

フォースロールとは何か

 フォースロールとは、フォーカスルールの裏に当たる「専門職なら多少の無理が可能」というのを再現するルールです。
 つまり「危険を承知で押し切るための判定」です。

フォースロールの処理手順について

 フォースロールの処理は単純です。

  • 何かの判定にファンブルではなく失敗した時、フォースロールを宣言する事でもう一度判定が可能です。
  • ただし、その判定に失敗した場合、その判定はファンブルとして扱います。

 以上です。
 これは、ヒーローポイントのないゲームにおいて専門職の「ゴリ押し」を再現するルールです。
 専門職らしい行動を失敗した時、どうしても振り直しをしたいニーズが発生しますが、代償なしの振り直しはシステムが破壊されるため、「失敗したらファンブル」というリスクの上に成立するルールです。

 フォーカスルールでフォローしきれない失敗があった場合、最後の一手として押し込む方法を提供します。
 これをフォーカスルールと合体させた場合、扱いとしては「失敗したらファンブルになるが、チャレンジ回数が1増えた」として扱えるため親和性が高いです。

 ただし、フォースロールはファンブルを受け入れられるなら無条件で追加判定が可能という考え方ができるため、プレイヤーが都度使う事を心配する場合は

  • フォースロールはターン1回までに制限する
  • フォースロールは専門職と言えるだけのデータ裏付けがある場合のみ可能とする
  • フォースロールの失敗によるファンブルは通常ファンブルより重い結果を出す

という運用も良いと思います。

これはまだバージョン1.00です。

 このフォーカスルール、フォースロールはまだバージョン1.00の段階です。
 思考実験としては成立していますが、ぜひ皆さんにも検証をお手伝いいただき、フィードバックを頂ければ嬉しいです。

 ぜひ採用して試してみて下さい。

この記事を書いた人 Wrote this article

如月 翔也 男性

 TRPGを遊ぶ人、回す人、悩む人のために。考え方、実践、運営を整理して、わかりやすく伝えるブログを書きます。